ホラーと言いながらあんまりホラーじゃないコメディです。
主要人物紹介
部長:志木タケル(2年)
怪談奇談好きが高じて熱意だけで部を立ち上げた発起人、涼子との掛け合いは最早漫才の域
大概噂話を仕入れてくるのはタケルである。
部員1:井上涼子(1年)
タケルと同じく怪談奇談ホラー映画好きであるが、今まで共に語る相手がおらず寂しい思いをしていた所、タケルと出会いそのまま勧誘され二つ返事で研究部に入る。部長であるタケルをとても尊敬している
部員2:神城正樹(1年)
タケルと涼子からはマサと呼ばれ大変懐かれている。涼子とは幼馴染で本来は別の部活に入る予定が部員がいないと発足できないとゆう理由で強引に涼子に部に入れられる。正樹本人は別にこれといって怖い話が好きなわけではない。部一番の冷静者
「よし行こう!」
「そうと決まったらこりゃもー張り切って午後はサボって会議よ会議!」
「え…俺もサボり決定な感じ?」
「てわけで、早速場所確認な!」
予定通りに午後の授業をサボった私達はいつもの駅前マックのいつもの席で地図を広げて
テーブルに身を乗り出すようにしてそれを囲みながら鼻息も荒く、とある会議を行っていた。
「えーっと…確かこの商店街の中のどれかのお店よね」
少しばかり冷めてしまったポテトをもりもりと食べながら、やっぱりここのポテトは早食いが肝心とかどうでもいい事を呟きながら地図…という大層なものでもないけど見慣れた商店街のお店が沢山載ったその紙きれに赤ペンで一つずつチェックを入れていく。
「ていうか俺も聞いた時にそんな店あったか?とか思ったんだけどよく考えりゃあんな寂れた商店街滅多に行かねーし、そんな気味悪い店あったっておかしくねーかもって思ってさ。これは調べる価値あり!と思ってこの話持ってきたわけだよ」
「流石ぶちょー!!こんな面白そうな話食いつかない方がおかしいってもんですよ!探究心が留まる所を知らないって感じですね!」
「おま、ちょっと落ち着けって」
「何言ってんのよマサ!これぞ私達の目指す地域密着型ホラーツアーにうってつけじゃない」
少し顔色を上気させてもう輝かんばかりの瞳で部長を見つめてがっしりと握手を交わすと一人置き去りにされてる感丸出しのマサ(こと神城正樹)に強制的に手を差し出させ、テーブルの真ん中で3人の手を重ね合わせると
「我ら六条高校ホラー研!初の部活動成功させるぞー!おー!」
と片手で握り拳を天高く上げ一致団結的な正に青春真っ盛りな雰囲気を私は作り上げた。
自画自賛じゃないがとても自分がかっこよく思える。
私達3人はつい先日立ち上げたばかりのホラー研究部の部員である。
たった3人しかいないのに部が成り立つとは到底思えないかもしれないが、それはここにいる部長(志木タケル)が担当顧問である先生を自らスカウトし、直に教頭先生にお願いに行ったおかげである。
当初、教頭はそんな悪趣味な部は誰も入る人がいないでしょうと馬鹿にしきってあしらっていたのだが、部長のあまりの熱意(というか最早執念)に気圧され、絶対一人も集まらないと思って”君を含めて3人集まったら部として認めましょう”と断言したのである。
そこからは想像するに難くないが私とマサがその魅力的な部活につられて入ったのは言うまでもない。
マサは正直私がほぼ無理矢理入れたのだけど嫌がらなかった方が悪いと思う。
こうして発足した我らホラー研究部はまだ出来立てなのでそれらしい部活動を今のところ何一つしていなかったのだ。
私達の掲げる目標は先にも言ったとおり”地域密着型”だ。
自分達の住むこの街にあるささやかな噂や伝説、怪談奇談をとにかくいろいろな人から聞き集めどんな些細な事でも具に検証していく、これが私達の求める”地域密着型”であり”怪異との出会い”である。
今までこんな事したくても出来なかったのに、それが今や同じ目的を共にする仲間が出来たのだ!
本当に部長には感謝しっぱなしだ。
再び置いてある商店街マップに目を落とすと今回の話を改めて整理する。
「で、その六条通り商店街の中に問題のお店があるってわけですね!」
「そうだ。何故だかその店は昼間はシャッターが閉まってて看板すらも出てない廃墟状態、けど真夜中になると2階の奥にある店だけが密やかに営業してて…しかもとんでもないもん売ってるって話だ」
「それ、誰が見たんですか?」
「直に見たって奴には会ってないよ、ただそうゆう噂があるって話だ。俺たちはそういった噂でも具に調べるのがモットーだからな!只の怪しい店ならそれでいいし、一応そこで店を切り盛りしてるってのが死んだ昔の店主だって噂を近所の主婦達から聞いたからな…もしそれが本当なら死人が営業する店だぞ、黙って見過ごすわけにはいかん」
「死人が営業するお店かあ…何売ってるのかすっごい気になりますね!」
「それよりそのお店って結局どのお店なんでしょうね」
赤ペンでぐるりと囲まれた幾つかの物件、これが今全く営業せず、人も住んでいない店になる。
存外にもこの商店街は広いので細い路地を入って行くと居酒屋さんがあったりだとかするのだが、商店街自体の集客率はあまり良くなく、次々と潰れていく店もあるのが実状だ。
なので赤ペンで囲まれた以外にも人が住まず営業のしていない店がある確率が高いのでこうして今日の午後は授業をサボって3人で商店街を下調べしてみる事になったのである。
「わ~何か私たち刑事みたいですね!かっこいい!部長の事刑事長って呼んじゃおうかな!」
「おうおう、いくらでも呼んでくれ給えよ井上くんワッハッハ!」
すっかり刑事長になりきったかのようなやたら張りのある声で快活に笑うその姿と涼子とのやりとりは正樹から見ると正に馬鹿そのものであった。
「あのー…もうやる事も決まったならそろそろ行きません?」
このままだと終わりそうもない馬鹿げたやりとりに終止符を打つべく割って入ると一瞬にしてタケルと涼子はガタガタンッと席を立ち、二人してガッツポーズを作ると
「さあ行くわよマサ!!」「さあ行くぞマサ!!」
と言ったと同時に食べ終えたゴミも捨てずさっさと店から出ていってしまった。
正樹は一人急いで鞄を担ぎ3人分のゴミを定められた場所に捨てると食べ残されたポテトを見て
やっぱりここの冷めたポテトは美味しくない…と心の中で涼子に賛同したのだった。
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