「それじゃあ買い物頼んだぞ」
そう言ってカダージュ、ヤズー、ロッズの三人はクラウドからお金を預かると元気よく街に繰り出して行った。
クラウドはこれから用事があるらしく、夕飯の買い物に行く暇がないとの事で、この何処か微妙に頼りない三人に買い物を任せる事になった。
市場では紙に書いてある通りの野菜を買ってはきたが、知らないうちにカダージュとロッズが果物を買い込んでいた。
ヤズーは盛大に溜め息をつき二人を叱った。
「だってバナナ食べたかったんだよ!なあロッズ?」
「そうそう食べたかったんだよ」
こいつら開き直りやがった。
相手にするだけ無駄と感じたヤズーはそそくさと市場を引き返す。
二人は周りの露店に目を奪われながらもしっかりヤズーに着いて行った。
「あ!」
といきなり立ち止まるカダージュにヤズーは訝し気に振り向いて
「何?」
と尋ねる。
「そういえばもう僕らのシャンプーないよ?僕あれじゃなきゃ駄目だから買ってこうよ」
サラサラの銀髪を靡かせてヤズーの腕にしがみつく。
かくいうヤズーもカダージュと同じメーカーのシャンプーの為買わなければ自分の分もない、と伸びきった髪の毛を疎ましそうに眺めた。
それから数分間を置いてから踵を返すと
「薬局、向こうだから」
とスタスタ歩き始めた。
財布にはシャンプー代くらいは残っていたので後から兄さんに言えばいいか、と納得して薬局に向かう。
薬局に着くとカダージュが一目散にシャンプーのコーナーに走って行き、あったあったと騒ぎ立てる。
のろのろとヤズーもそこへ行くと目的のシャンプーを取ろうと手を伸ばした…
が、同時にその商品を手に取った金色の手にチラリと目を遣れば
「あーー!!あんた!」
「騒がしい客だな…もう少ししっかり躾られんのか…」
カダージュが驚いてその男を指させば男は男でその甲高い声に顔をしかめて文句を言う。
「悪いね、ヴィンセント」
ヤズーはカダージュの頭を小突くとヴィンセントに適当に謝る。
「フン、まさかお前達もこのシャンプーを使用しているとはな…」
そう、互いの手にはしっかり握られたアジ○ンス。
加えてヴィンセントは美髪水も購入のご様子。
「あんたそんなに綺麗にしてても見てくれる人居ないんだからさあ、こっちでいいんじゃなーい?」
カダージュは意地悪そうに笑うと隣のメリ○トを手に取りぶらぶらと振る。
「ア○エンスと言うのはアジアンビューティーだぞ、この私のような漆黒の髪にこそ似合うというものだ」
お前らのような老人頭と一緒にするな、と冷めた目で言い放つ。
「特にそこのツンツンは老けて見えるからな」
まさか自分が言われるとは思わずロッズは老け顔という一番気にしている箇所を指摘され顔を歪めた
「うっ…うぅ」
「泣くなよロッズ」
ヤズーは無関心にさっさとロッズを連れて会計に行ってしまい、その場にはやたら険悪な雰囲気の二人が残された。
「おっさん、あんまり調子乗らない方がいいよ?」
「お前もな、マザコン」
バチバチと二人の間に火花が走る。
「残念ながらクラウドは私のような落ち着いた男が好みらしいぞ?」
挑戦的にカダージュに言う。
「兄さんは若くてピッチピチの僕みたいな可愛い子が好きなんだからね!」
フンっと鼻を鳴らし自慢気に答える。
その後もその薬局で大声を張り上げて、やれクラウドだやれ兄さんは…と閉店近くまで論争は続いたらしく、クラウドは一躍街の有名人になったそうです
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