*居眠り*
ただいま夏休み。
上総と和紗は机にノートを広げ突っ伏していた。
「何だって俺らの学校はこんなに宿題が多いんだよ!」
と上総は半ばヤケになってシャープを放りバタリと絨毯に倒れる。
それをだるそうに見遣りながらも黙々と和紗の方は問題集に向かう。
夏休みに入って数日が過ぎた頃に和紗が宿題を早く終わらせる為にどうせなら二人で手分
けしてやらないか?と上総に提案したのが始まりだった。
お互いの得意教科を手分けすれば早く終わると踏んでいたのだが……
「僕も疲れた……」
溜息をついてペンを机に置くと顔を伏せ疲れた表情を浮かべると苦笑いし
「でも結構片付いたんじゃないかな?」
とパラパラと国語の課題をめくりながら上総のやりかけの数学の課題に目を遣る。
「お互い三分の一くらいは終わったか?」
いきなり黙っていた上総がガバリと起き上がり国語の課題を覗き込む。
「この調子なら夜までに半分は終わるな…」
チラリと和紗を見つめ休憩しようと言わんばかりのにやけた顔をしてみせる。
互いに家が隣同士という事もあって夜どころか夜中まで居ようと両親も気にしない為、最近
では毎日のように互いの家を行ったりきたりしているのだ。
上総にとっては好きな相手の家にいられるのも自宅に招くのもこの上ない幸せだ。
しかしこの忌ま忌ましい課題のせいでひたすら勉強し、たまに会話を交わす程度…
では流石にいくら幸せだと言っても限度がある。
目の前にいるのに会話もままならないし触れる事すらできない。
和紗には以前自分の正直な気持ちを伝えた……つもりではいる。
しかしそういった色恋沙汰にはいかんせん疎い人物でそれ以来は特に反応もなく普通に友
達として上総に接している。
(もしかしてアレが終わるまで待ってるつもりか…?)*夕焼けの帰り道参照
等と上総が悶々と考えていると目の前から規則的な寝息が聞こえてきた。
「あ?寝ちまったのか?」いろいろと思考を巡らせているうちにどうやら疲れのせいで和
紗は眠ってしまったようだ。
そっと手を伸ばしてみてその柔らかな頬に触れるが気付く事もなく、うぅとか声を漏らす
だけである。
「やっべ……可愛いな…」
少し顔を赤らめ上総は愛おしむようにその透き通った髪に指を滑らせる。
もしかしたらこれは起きないのではないか、とゆう考えがよぎり、調子に乗って自身の顔
を近づける。
既にお互いの息が顔にかかる程度にまで近寄るが全く気付く事はなく、小さな部屋に上総
の唾を飲み込む音だけが響いた。
(今ならいけるかもしれない…)
ぐい、と和紗の頭を寄せほんの一瞬だけ触れるだけのキスをした。
「ん……」
と身を捩るがまだ深い眠りについたまま。
このままではこれ以上の何かをしてしまいそうな上総はグっと堪え、
“悪いけど用事思い出したから帰る、ごめん!”
と課題の空白の部分に書き記し、部屋を後にした。
慌ただしく玄関まで行き、和紗の母にお邪魔しましたと告げると足早に自宅に帰り、ベッドに飛び込んだ。
和紗は何も知らないまま。
また明日が今は来ないで欲しいと
和沙に触れた唇を撫で、止まらない心臓の高鳴りを聞いて上総はそう思った。
(あーあ、俺超重症じゃん……)
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