夜明け、君の為に花を摘む
「君麻呂、こっちへいらっしゃい」
「何か御用ですか?」
微笑んで手招きをする大蛇丸の姿につい見惚れてしまい誘われるままにフラフラと近付いてゆくと
そっと頭に手を置かれ、撫でられた。
その大きな手が心地良くて目を閉じてもっと、というように擦り寄る。
「あら、以外と甘えん坊ね」
クスクスと笑うと自分と同じ目の高さまでしゃがみ、君麻呂の目の前に花を出した。
「これは…?」
不思議そうに差し出された花を受け取りジっと大蛇丸を見つめる。
「あなたにピッタリでしょう?その花」
「で、でも僕は女の子じゃないし花なんて似合いません…」
大蛇丸からの贈り物などかなり珍しいので心境としてはとても嬉しいのだが、その意図を計り兼ねて首を傾げる。
彼は意味のない贈り物などしない人だ。
「性別なんて関係ないわ、只その花があなたに似合うと思っただけよ?それに…そこいらの女なんかより余程綺麗だと私は思うのだけど?」
カァっと顔に熱が集中するのが解った。
今一体彼は僕に何と言ったのだ?
今まで一族からは忌み嫌われ可愛がってもらった記憶もない、誰かに贈り物を貰った事もない、
こうやって優しく撫でられたり話したりした事もない。
「恥ずかしいの?」
ずっと顔を真っ赤にしたまま俯いていると下から顔を覗かれた。
その自分にだけ向けられている笑顔を見たら突然涙が頬を伝った。
鳴咽を漏らして泣いているとまた頭を撫でられて今度は手を握られた。
そんな優しい言葉も優しい行動も今まで受けた事がなかった。
当たり前のようにされるその全てが自分にとっては初めての事ばかりで嬉しかったのだ。
「帰ったら一緒に寝ましょうか?」
君麻呂の方を振り返ることなくその小さな手を取ってゆっくりと歩き出す。
後ろで涙を拭いながらキュっと手を握り返した。
※ちなみに補足ですが大蛇丸があげた花はアネモネ。
花言葉は「君を愛す」です。
趣味は読書にゲームに写真撮影とか色々。
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